Difyの費用は、Difyのプラン料金、モデルや外部サービスの利用料、運用にかける費用を分けると見積もりやすくなります。
無料プランから学習を始められますが、無料のDifyアカウントがあれば外部のAIモデルも無制限に無料になる、という仕組みではありません。
この記事は、Difyを独学している人や、小さな業務アプリの予算を考えたい人向けです。
料金表を読む方法と、利用回数やトークン数を変えられる費用試算を説明します。
Difyの基本的な役割が分かっていると読み進めやすくなります。
料金・公式資料の確認日は2026年10月26日(日本時間)です。
金額は米ドル(USD)、税別で扱い、円や他通貨への換算はしていません。
公式仕様の比較と仮定による計算例であり、Difyで測定した請求実績ではありません。
契約前には最新の料金ページと実際の決済画面を確認してください。
1. 最初に「何に払うか」を3つに分ける
同じチャットアプリでも、Difyの契約先、モデルの提供元、検索や保存のサービスで請求が分かれることがあります。
プラン名だけで総額を判断せず、支払先を並べてください。
| 費用の区分 | 主な内容 | 見積もるための情報 |
|---|---|---|
| Difyの利用環境 | Cloudのプラン料金、必要に応じた商用契約 | ワークスペース数、プラン、請求周期、契約条件 |
| モデル・外部サービス | 自分のAPIキーで使うモデル、検索、音声、外部保存など | 提供元、モデルID、課金単位、利用量、適用割引 |
| 運用 | セルフホストのサーバー、バックアップ、監視、更新、問い合わせ対応 | 構成、保存量、通信量、作業時間、時間単価 |
Cloudのプラン料金と、自分で用意したAPIキーの請求は分けて記録します。
DifyのModel Providersの説明では、自分のキーによる利用は、その提供元の自分のアカウントへ請求されるとされています。
また、現金の支払額と、自分や社内担当者の作業時間を評価した費用も区別します。
月に2時間、自分で保守した場合、外部への支払がなくても時間は使っています。
両方を見せると、Cloudとセルフホストを比較するときに条件をそろえやすくなります。
2. Dify Cloudのプラン表を読む
ここでは料金の計算に必要な部分に絞っています。
| 項目 | Sandbox | Professional | Team |
|---|---|---|---|
| 月払い・1ワークスペース | 無料 | USD 59/月 | USD 159/月 |
| 年払い・1ワークスペース | 対象外(無料プラン) | USD 590/年 | USD 1,590/年 |
| 年額を12で割った比較用の月額 | 対象外 | 約USD 49.17 | USD 132.50 |
| 付属message credits | 200、月次補充なし | 5,000/月 | 10,000/月 |
| チームメンバー数 | 1 | 3 | 50 |
価格は1人当たりではなく、1ワークスペース当たりです。
別のワークスペースを使う場合も同じ契約で賄えると決めつけず、Billingの説明と各ワークスペースの契約を確認します。
年額590を12で割った49.17は、比較のための月額換算です。
「毎月49.17を払える」という意味ではありません。
月払い59を12か月続けると708で、年額590との差は118です。
Teamは159×12=1,908、年額との差は318になります。
割引額だけでなく、年単位の契約・支払と利用予定期間を合わせて考えてください。
プランには、アプリ数、ナレッジの文書数や保存容量、ナレッジへのリクエスト、Triggerなど別々の枠もあります。
クレジットが残っていても、別の枠に達する可能性があります。
また、料金表の「No Dify API Rate Limit」を、接続するモデルや外部APIの制限までなくなる意味には読み替えないでください。
Enterpriseなど個別契約の費用は見積もり確認が必要です。
公開料金がないものに金額を当てはめません。
教育向け制度などの例外も、標準料金表とは別に資格と適用条件を確認します。
3. credits、トークン、API利用料の違い
付属creditsは、文字数やドルと同じ単位ではない
料金ページではmessage credits、現在のモデル設定の資料ではAI creditsという表記が使われています。
Dify Cloudで対象モデルを使うための枠で、モデルごとに1応答当たりの消費量が異なります。
公式のモデル設定資料は、AI responseを1回のモデル呼び出し、つまり1つの入力と1つの出力として説明しています。
その応答のトークン数が増えても、応答の件数自体が増えるわけではありません。
これは、外部モデルのAPI請求がトークン数と無関係という意味ではありません。
仮に1回の呼び出しが5 creditsなら、200 creditsを5で割った40が単純計算上の呼び出し回数です。
この「5」は計算を説明する仮定で、特定モデルの現行料金ではありません。
1回の利用者の依頼で複数回モデルを呼ぶなら、40依頼に対応できるとは限りません。
自分のAPIキーを使う場合は、提供元の課金を確認する
自分のキーを登録すると、そのモデル提供元の料金体系で費用が発生し得ます。
付属creditsと自分のキーを併存させ、Usage Priorityで利用の優先順位やフォールバックを設定できる場合もあります。
無料枠が終わったら必ず停止すると思い込まず、実際の設定と支払先を確認してください。
トークンは、モデルが入力や出力を処理するときの単位です。
日本語の1文字=1トークン、質問1件=一定トークンという固定換算はできません。
たとえばClaudeの公式料金資料は、入力・出力、キャッシュなどを分けています。
選んだ提供元・モデル・利用経路の料金表を使うことが大切です。
| 数えるもの | 単位の例 | 混同しないこと |
|---|---|---|
| 利用者の依頼 | 問い合わせ1件、処理1件 | モデル呼び出し1回と同じとは限らない |
| モデル呼び出し | LLM(大規模言語モデル)ノードの実行など | リトライや複数ノードで回数が増え得る |
| Difyの付属枠 | credits | 一律のトークン数やUSDに換算しない |
| 外部モデルの請求 | 入力・出力トークン、呼び出し等 | 提供元・モデル・経路の条件に従う |
4. トークン課金のモデル利用料を計算する
次の式は、入力と出力がそれぞれ100万トークン当たりで課金される単純なテキスト利用を想定したものです。
キャッシュ、画像、音声、ツール料金、Batch、地域別料金などは含めていません。
対象サービスの料金体系が異なる場合は、区分を追加して計算します。
月間モデル呼び出し回数 = 月間依頼数 × 1依頼当たりの平均呼び出し回数
入力費用 = 呼び出し回数 × 1呼び出しの平均入力トークン ÷ 1,000,000 × 入力単価
出力費用 = 呼び出し回数 × 1呼び出しの平均出力トークン ÷ 1,000,000 × 出力単価
モデル利用料 = 入力費用 + 出力費用
入力には、利用者の質問だけでなく、システムの指示、会話履歴、検索で取り出した資料なども入り得ます。
RAG(検索した資料を生成に使う仕組み)で長い資料を毎回渡したり、Agentが繰り返しモデルを呼んだりすると、同じ「問い合わせ1件」でも費用の構造が変わります。
平均呼び出し回数には、発生するリトライや分岐先の呼び出しも含めて見積もります。
失敗時に何が請求されるかは提供元によって確認が必要です。
複数モデルの単価が違う場合は、モデルごとに計算して合計してください。
平均値だけで極端に長い入力を隠さず、代表入力と大きな入力を別に確認します。
RAGでは文書登録時のEmbedding(ベクトル化)、検索時のEmbeddingやRerank(候補の並べ替え)にも別の利用料が発生し得ます。
初回登録と日々の問い合わせは発生タイミングが違うため、初期費用と月次費用に分けて整理すると分かりやすくなります。
5. 1,000件の架空例で、総費用を試算する
ここからは、1ワークスペースのProfessionalを月払いで利用し、モデル呼び出しはすべて自分のAPIキーで課金すると仮定します。
付属creditsを差し引かない条件です。プラン料金59以外の入力値は、計算を学ぶための仮定です。
実在モデルの価格、推奨予算、運用実績ではありません。
| 入力項目 | 仮定値 | 単位・条件 |
|---|---|---|
| Difyの固定費 | 59 | USD/月、1ワークスペース |
| 月間依頼数 | 1,000 | 件/月 |
| 平均呼び出し回数 | 2 | 回/依頼、リトライ等を含む想定 |
| 平均入力トークン | 1,500 | tokens/呼び出し |
| 平均出力トークン | 500 | tokens/呼び出し |
| 仮の入力単価 | 1 | USD/100万入力tokens |
| 仮の出力単価 | 4 | USD/100万出力tokens |
| その他の外部サービス・インフラ | 10 | USD/月、例としてまとめた費用 |
| 運用時間 | 2 | 時間/月 |
| 運用時間の評価単価 | 20 | USD/時間 |
| 予備費率 | 20% | 運用時間を含む費用合計に適用 |
月間呼び出しは1,000×2=2,000回です。
入力は300万tokensで3 USD、出力は100万tokensで4 USD、モデル利用料は合計7 USDになります。
| 計算結果 | 金額(USD/月) | 計算 |
|---|---|---|
| モデル利用料 | 7.00 | 3+4 |
| 外部への支払見込み | 76.00 | 59+7+10 |
| 運用時間を評価した費用 | 40.00 | 2時間×20 |
| 運用時間を含む費用合計 | 116.00 | 76+40 |
| 予備費 | 23.20 | 116×20% |
| 予備費を含む予算 | 139.20 | 116+23.20 |
この例の「支払見込み76」と「予算139.20」は意味が違います。
運用時間の40は、担当者の時間を評価した費用です。
外注や給与等との関係で実際の支払にも含める場合は、同じ費用を二重計上しないようにします。
予備費は予算上の余裕で、Difyの課金停止機能ではありません。
条件を変えて、どこが増えるかを見る
| 変更する条件 | モデル利用料 | 運用時間込みの費用合計 | 予備費込み予算 |
|---|---|---|---|
| 元の例 | USD 7.00 | USD 116.00 | USD 139.20 |
| 依頼数だけ2,000件にする | USD 14.00 | USD 123.00 | USD 147.60 |
| 依頼数1,000件のまま平均4呼び出しにする | USD 14.00 | USD 123.00 | USD 147.60 |
ほかの入力は固定した計算です。モデル利用料が2倍でも、固定費や運用時間を同じと置けば総費用は2倍にはなりません。
逆に、実際の運用時間や保存量が増えるなら、その入力も増やす必要があります。
添付のDFY-004_cost_estimator.xlsxでは、各言語のシートで入力条件を変更できます。
自分のモデルの単価と利用量に置き換え、計算途中の入力費用・出力費用も確認してください。
年払いを比較する場合は固定費に年額÷12を入れ、年払い時の支出は別に管理します。
この表は請求書や自動課金制御の代わりにはなりません。
6. セルフホストは、ソフトウェア以外の費用も数える
Community Editionを自分で動かす場合も、サーバー、保存領域、バックアップ、通信、更新、監視、障害対応は必要です。
外部モデルのAPIを使えば、その費用も残ります。
自分でモデルを動かすなら、GPU等の資源やその運用も別に見積もります。
公式のDocker Compose導入手順は最小要件として2 CPUコア、4 GiBメモリーを記載しています。
これは本番性能の保証でも、任意のLLMを同じマシンで動かせる保証でもありません。
OS別の条件もあり、単に最安のサーバー価格を総費用にすることはできません。
| 比較条件 | Cloudで確認するもの | セルフホストで確認するもの |
|---|---|---|
| 同じ依頼数・同じモデル | プランとモデル料金 | サーバー構成とモデル料金 |
| 同じ資料量・保存期間 | ナレッジ等の枠、外部保存 | DB・ファイル・バックアップ容量 |
| 同じ運用品質 | 契約範囲と自分の運用作業 | 更新・監視・復旧を担う人と時間 |
| 同じ利用目的 | プラン・契約条件 | 対象版のライセンスと追加契約の要否 |
現在のDifyのLICENSEには、商用利用に関する条件や、マルチテナント運用、ロゴ・著作権表示についての追加条件があります。
「ソースを取得できるから、あらゆる利用が無条件で無料」とは判断できません。
用途と対象バージョンの条件を確認します。
この記事では特定サーバーの優劣や、Cloudより安くなる利用件数を断定しません。
同じ品質・負荷・運用条件の実測がないためです。
学習開始の手間、管理できる人、データの扱いも含めて導入方式を選んでください。
7. 自分の条件へ置き換える5つの手順
- 契約単位を決める。 Cloudかセルフホストか、ワークスペース数、請求周期を記録します。現行の料金表示、通貨、税、確認日も残します。
- 支払先を分ける。 付属creditsで動く部分、自分のAPIキーで動く部分、外部サービスを分けます。使用優先順位とフォールバックも確認します。同じ呼び出しをcreditsとAPI料金の両方で計上しません。
- 代表入力の量を見積もる。 依頼数、呼び出し回数、入力・出力トークン、資料更新頻度を置きます。分からない数字は仮定として記録し、後で計測値と差し替えます。
- 固定費と作業時間を加える。 初期構築、毎月の保守、年契約、追加ツールを分けます。税・決済手数料・為替差は実際の請求条件で追加し、単純にUSDの数字を円やユーロに読み替えません。
- 小さく確認して、見積もりを更新する。 実行前に利用上限、予算通知の挙動、停止条件を提供元ごとに確認します。テスト回数と費用上限を自分で決め、架空データで実行し、Dify側の実行記録と提供元側の利用明細を照合します。
この段階でAPIを呼ばず、表計算だけを行うこともできます。
実測するなら、対象環境、Difyの版またはCloud確認日、モデルID、プラグイン版、入力、回数、日時、請求単位を記録してください。
本記事の制作では、その実機測定を行っていません。
確認後は不要なテスト用Triggerを停止し、残した資料やログの保存期間を見直します。
共有する試算やスクリーンショットにAPIキー、認証付きURL、顧客データを含めないでください。
8. 見積もりでよくある失敗
| 失敗例 | 起きる問題 | 見直す箇所 |
|---|---|---|
| プラン料金だけを予算にする | モデル・検索・運用費が抜ける | 支払先と作業時間の一覧 |
| 年額の月換算を月払い価格だと思う | 支払時期と金額を誤る | 契約周期、年額、決済画面 |
| 1依頼=1モデル呼び出しと置く | 複数ノードやリトライ分を見落とす | 実行経路と平均呼び出し回数 |
| 質問文だけのトークンを数える | 指示・履歴・取得資料が抜ける | モデルへ渡した入力全体 |
| 付属creditsを一律のUSDに換算する | モデル別消費や請求先を誤る | モデル、優先順位、外部APIの料金 |
| セルフホストの保守を0円にする | 管理負担の比較ができない | 作業時間と役割分担 |
| 予備費を設定すれば課金が止まると思う | 予算を超えても利用が続き得る | サービス側の上限・通知・停止設定 |
費用削減を試すときは、同じ質問集合で回答品質も確認します。
入力や検索資料を減らして安くなっても、必要な根拠を失っていれば、業務上の目的は達成できません。
価格だけを理由にプランやモデルを決めないことが大切です。
9. よくある疑問と次の一歩
無料プランだけで独学できますか。
枠の範囲で始められます。
ただし、資料量や利用回数によっては制限に達します。
自分のAPIキーを使う部分や外部サービスの費用は別に確認してください。
有料プランならAI利用料も使い放題ですか。
いいえ。プランの付属creditsと、自分のモデル提供元アカウントへの請求を分けて確認します。
プラン内の各種資源枠も別です。
月額換算の安い年払いを先に選ぶべきですか。
利用期間と必要な枠が見えてから比較すると判断しやすくなります。
換算額だけでなく年額、支払条件、変更・解約条件を確認します。
Billingの資料では、解約後も支払済み期間の終わりまでは現在のプランを使い、その後Sandboxへ戻る流れが説明されています。
なぜ試算に実在モデルの単価を固定していないのですか。
単価、モデル、利用経路が変わっても計算を使い続けられるようにするためです。
入力1・出力4 USD/100万tokensは練習用です。
実際に選んだモデルの現行条件を入力してください。
まずは自分の依頼数と支払先を整理し、試算表の仮定を1つずつ置き換えてみてください。
その後、Cloudとセルフホストの違いや、最初のアプリの作成へ進むと、必要な環境を選びやすくなります。
最新条件の確認先はDify公式料金ページです。
