Marketoの管理設定は、「誰が操作するか」「施策をどう分類するか」「値をどこで管理するか」「変更や配信をどう確認するか」の4つに分けると、全体像をつかみやすくなります。まず業務の目的を言葉にし、それに対応する設定と確認方法を選びましょう。
この記事は、Adobe Marketo Engage Business Practitioner Professional(AD0-E561)を学ぶ初学者向けに、管理領域の学習項目と確認順を整理した非公式ガイドです。管理画面の全機能を網羅するマニュアルではなく、個別の設定を学ぶ前の案内として使えます。
公式情報の確認日:2026年10月18日。説明はAdobeの公開資料に基づきます。利用環境での操作検証は行っていません。ユーザー管理の方式、権限、利用可能な機能によって画面や確認経路が異なります。
管理設定の全体像|業務の目的から確認項目を選ぶ
Marketoを運用するための設定は、Admin(管理)画面だけで完結するわけではありません。ユーザー管理ではAdobe Admin Console、プログラム固有の値ではMarketing Activitiesも関係します。「管理設定」という学習分野と、画面名のAdminは分けて考えてください。
| やりたいこと | 確認する設定・機能 | 最初に考えること |
|---|---|---|
| 担当者に必要な操作を許可したい | Users/Roles and Permissions | 利用者、担当業務、必要な権限 |
| 施策を部門などで分類したい | Tags | プログラムに付ける分類軸と値 |
| 登録・参加などの状態をそろえたい | Channel/Program Status/Success | 施策の方法と、成功とみなす状態 |
| 開催日などの共通表示を管理したい | My Tokens | どの範囲で共通の値を使うか |
| 人ごとに異なる情報を保存したい | Field Management | 既存項目の有無、保存する値、データ型 |
| 設定やアセットの変更を調べたい | Audit Trail | 調べる対象、変更時期、操作者 |
| キャンペーンをまとめて探したい | Campaign Inspector | 確認したいSmart Campaignと状態 |
| エラーなどの通知を見落としたくない | Notifications | 通知の種類と対応担当 |
| 一人へのメールの送りすぎを抑えたい | Communication Limits | 配信頻度と適用条件 |
| 一度に多くの人へ処理が走るのを防ぎたい | Person Restrictions | 対象人数と、制限が適用される処理 |
この表は、公式機能を業務の目的に対応付けた学習用の整理です。それぞれの違いと適用条件を、以下で確認します。
AD0-E561では何を学ぶのか
公式の試験範囲では、Platform Administration(管理設定)の比率は32%です。公開されている目標は、ユーザーとロール、タグとチャネル、監査、全体キャンペーン管理、通知、トークン、適切なデータ型でのフィールド作成の7項目です。この記事の4分類は、それらを理解するための編集上の整理です。
32%は試験範囲の配分です。学習時間を必ず32%にするという意味でも、特定の設定が必ず出題されるという意味でもありません。全体キャンペーン管理を学ぶ入口として、この記事では検索・点検と配信制御も取り上げます。
ユーザーとロール|利用者と操作権限を分けて考える
ユーザーはMarketoを利用する人やアカウント、ロールは利用できる機能・操作をまとめた権限の単位です。学習では「ユーザーを追加すること」と「担当業務に合う権限を与えること」を分けて理解します。
例えば、架空のウェビナー担当者がメールを作成し、別の担当者が承認する運用なら、必要な操作を先に書き出します。「作成」「承認」「実行」「管理」のどこまで必要かを整理してから、既存ロールで満たせるかを確認する進め方です。
最初に確認するのはAdobe IMSへの移行状況
| 環境 | ユーザー管理 | ロール・権限の確認 |
|---|---|---|
| Adobe IMS導入済み | Adobe Admin Console | MarketoのAdmin → Users & Roles → Roles |
| Adobe IMS未導入 | MarketoのAdmin → Users & Roles | MarketoのAdmin → Users & Roles → Roles |
Adobe IMSは、AdobeのID管理の仕組みです。表は管理場所の整理であり、ユーザー追加やロール割当の詳細手順ではありません。自分の環境がどちらか不明な場合は、管理者に確認すると読むべき手順を絞れます。
出典:Adobe公式:管理設定の引き継ぎチェックリスト、ユーザーロールと権限の管理
タグとチャネル|施策の分類と参加状態を整理する
タグはプログラムを分類するための情報です。ここでいうプログラムは、ウェビナーなど一つのマーケティング施策を管理する単位です。Tag Type(分類軸)とTag Value(値)を分け、例えば「実施部門=企画部」のように整理します。Personに付ける任意のラベルとして説明すると、用途を取り違えます。
チャネル(Channel)は、ウェビナーなど施策の実施方法を表し、参加者のProgram Status(プログラム内の状態)やSuccess(成功とみなす状態)にも関係します。定義はAdmin → Tagsから確認します。
| 概念 | 例 | 答えられる問い |
|---|---|---|
| タグ | 実施部門=企画部 | どの部門の施策か |
| チャネル | Webinar | どのような方法の施策か |
| Program Status | Registered/Attended | その人は登録済みか、参加済みか |
| Success | この例ではAttendedを成功とする | この施策で目標に達したか |
これは設計例であり、既存環境のチャネル名や成功条件を示すものではありません。また、Program Type(プログラム種別)とChannelは同義ではなく、利用する種別に合うチャネルを確認します。Successも、すべての施策で購入や売上を意味するわけではありません。
トークンとフィールド|共通の表示値と保存する情報を分ける
フィールドはデータを保存する項目です。トークンは、コンテンツなどの対応する場所へ値を差し込むための表記・仕組みです。両者は「どの値を、誰のために、どこから使うか」で考えると区別できます。
My Tokensは共通値を使う範囲から選ぶ
例えば、一つの施策の案内メールとランディングページに同じ開催日を表示したい場合、プログラムのMy Tokenに共通の値をまとめる設計が考えられます。My Tokensには、次の管理場所があります。
- Local My Tokens:Marketing Activitiesで対象のプログラム、またはキャンペーンフォルダーを選び、My Tokensで扱います。
- Global My Tokens:Admin → My Tokensで扱います。公式手順ではAdmin権限が必要です。
My TokensをすべてAdminで扱う、あるいはすべてMarketing Activitiesで扱う、と覚えないことが大切です。プログラムやフォルダーでは、そこで定義した値、上位から継承した値、継承した値を上書きしたものも区別します。変更時は値の参照元と利用先を確認しましょう。
出典:Adobe公式:My Tokensの管理、プログラムのMy Tokensの基本
人ごとに保存したい値はフィールドを確認する
一方、「参加者ごとの希望相談日」を保存し、日付の条件で対象者を選びたいなら、Personのフィールドを検討します。全員に共通のMy Token一つで、人ごとに違う希望日を管理する設計にはしません。
フィールドの定義はAdmin → Field Managementが確認先です。新しい項目を作る前に、同じ目的の既存項目、保存先のオブジェクト、入力・更新元、CRMとの連携方針を調べます。フィールドにはPerson以外を対象とするものもあるため、保存先の確認を省けません。
データ型も用途に合わせます。例えば日付ならDate、整数ならIntegerが候補です。型によって利用できる条件の演算子やフォームでの扱いが変わるため、表示だけでなく、後でどう抽出・判定するかまで考えます。
出典:Adobe公式:カスタムフィールドの作成、カスタムフィールドの型、トークンの概要
監査・通知・配信制御|調査対象と制限の単位をそろえる
Audit TrailとActivity Logは調べる対象が違う
Audit Trail(監査履歴)は、対象となるアセットや管理設定の変更、ユーザーのログインなどを調べる入口です。「誰がこの設定を変えたか」を調べる場面で使います。記録対象は公式文書に定められており、すべての関連製品・操作を記録すると考えないようにします。
特定のPersonについて、時間順に何が起きたかを追いたい場合はActivity Log(アクティビティログ)を確認します。設定側の変更を調べるのか、一人の履歴を追うのかを先に決めると、確認先を選びやすくなります。
出典:Adobe公式:Audit Trailの概要、PersonのActivity Logを開く
キャンペーンの一覧確認とエラー通知を使い分ける
Campaign Inspectorは、Smart Campaignを一か所で表示・検索するための機能です。Notificationsは、キャンペーンのエラーやCRM同期の問題など、システムで起きた事象を知らせます。複数のキャンペーンを探して点検する場面と、届いた通知から問題を調べる場面を分けて考えましょう。
学習時は「どの状態を確認したいか」「通知を誰が確認するか」「どの対象を調査するか」をメモします。画面を見つけるだけでなく、確認後の担当者と行動まで考えるのが運用の練習になります。
出典:Adobe公式:Campaign Inspector、Notificationsの基本
配信頻度と、一度に処理する人数は別の制限
| 設定 | 主に制限するもの | 確認する条件 |
|---|---|---|
| Communication Limits | 一人に対するメールの配信頻度 | 1日・7日間の設定、適用設定、Operationalメール等の例外 |
| Person Restrictions | 一度に対象となる人数 | 対象はバッチキャンペーンとEmail Program。個別キャンペーンの上書き設定も確認 |
Communication Limitsは、数値だけでなく「Block non-operational emails」などの適用設定を合わせて確認します。Person Restrictionsでは、対象人数が上限を超えるとSmart Campaignは実行されません。「上限までの人数だけ処理される」という意味ではありません。
例えば、同じ人にメールが集中する問題と、意図せず大量の人を処理対象にしてしまう問題では、見る設定が異なります。本記事では数値の変更は行わず、制限の単位と適用対象を説明できることを目標にします。
出典:Adobe公式:Communication Limitsの設定、Smart CampaignへのCommunication Limitsの適用、Person Restrictionsの設定
初学者の学習順|目的・設定・確認方法を一組で覚える
次の順番は、前提を積み上げやすくするための学習案です。Adobeが指定する必須順ではありません。すでに業務で使っている項目は、理由を説明できるか確認してから次へ進めます。
- 操作する人を整理する:ユーザー管理の方式と、担当業務に必要な権限を確認します。到達点は「誰に何を許可したいか」を説明することです。
- 施策の分類と成功を決める:タグ、チャネル、参加状態を区別します。到達点は、架空の施策を一つ分類し、何を成功とするか説明することです。
- 値の持ち方を決める:共通値のトークンと、保存項目であるフィールドを区別します。到達点は、値の所有者・参照元・用途を説明することです。
- 確認と制御を考える:監査、通知、キャンペーン確認、配信制限を対応付けます。到達点は、起きた事象に対して最初の確認先を選ぶことです。
操作環境がない場合は、公式文書を読みながら目的・設定・確認方法まで記入できます。環境がある場合も、まず現在値を読むところから始め、変更を伴う検証は許可された範囲で行います。紙上で説明できたことと、実機で結果を確認したことは分けて記録してください。
15分の紙上演習|架空のウェビナー要件を分類する
以下は独自に作成した架空の学習課題です。公式問題や実試験の再現ではありません。メール送信、ユーザー追加、設定変更をせず、紙やメモ帳で進められます。15分は編集上の目安です。
架空の「はじめての業務改善ウェビナー」を準備するとして、各要件に合う設定と、その結果を何で確かめるかを考えてください。例えば1番なら、「ロールを確認する」だけでなく「担当者が作成でき、承認は担当外になっているか確認する」まで書きます。
| 番号 | 要件 |
|---|---|
| 1 | メールの作成担当と承認担当を分けたい |
| 2 | 実施部門を「企画部」としてプログラムを分類したい |
| 3 | 登録済みと参加済みを分け、参加を成功とみなしたい |
| 4 | この施策のメールとLPに同じ開催日を表示したい |
| 5 | 参加者ごとに希望相談日を保存したい |
| 6 | 同じ人へのメール集中と、バッチ処理の対象人数超過を、それぞれ別に確認したい |
進め方と解答例
最初の2分で要件を読み、次の7分で「設定と理由」、続く4分で「確認方法」を書き、最後の2分で下の例と比べます。
- ユーザーとロール:担当業務に合う権限を整理し、許可する操作・許可しない操作の両方を確認項目にします。
- タグ:実施部門という分類軸と値を確認し、対象プログラムで意図した分類になっているかを見ます。
- チャネル・Program Status・Success:参加状態と成功条件を確認します。状態の更新方法は、別途設計する必要があります。
- プログラムのLocal My Token:共通の表示値と利用先を整理し、メールとLPで意図した表示になるかを確認項目にします。
- Personのフィールド:既存項目とDate型の適合を検討し、人ごとに異なる日付を保持・抽出できるかを確認項目にします。
- Communication LimitsとPerson Restrictions:前者は一人への頻度、後者はバッチなどの対象人数です。制限値だけでなく適用条件も記録します。
6件について設定名・選ぶ理由・確認方法を説明できれば、今回の学習目標を満たしています。答えを見て迷った箇所があれば、一つ選び、その節の公式資料へ戻りましょう。これは理解度の確認であり、合格判定や実機検証の結果ではありません。
今日の一歩は、最も迷った要件を一つ選んで、目的・設定・確認方法の3行を書き直すことです。資格全体との位置付けを確認したい場合は、Marketo資格の試験概要と学習方法も参照してください。
